頑固な便秘に潜む病気 パーキンソン病

現代人は一般に便秘がちと言われている。便が3日も4日もでない、いきんでも便が出にくい、やっと排便しても残便感で気持ちがすっきりしない。浣腸しても便が出きらないなど、人に相談しにくく便秘に悩む人は多い。1週間に1回の排便に苦労するような頑固便秘に難渋している人の中には、予想もしない病気が隠れていることがある。糖尿病、橋本病、うつ、過敏性腸症候群でも便秘になるが、大腸がんの便秘は放置していると大変なことになる。これらの病気は、身近なクリニックや病院を受診し、検査治療を受けやすい環境にある。神経の分野にも、頑固な便秘を特徴とする病気がある。それはパーキンソン病という名の動作の鈍くなる病気である。

最近は高齢化と共に、お年寄りのパーキンソン病が増えている。この病気は、動作緩慢などの運動症状に先立って、便秘で発症するタイプは珍しくない。


パーキンソン病と便秘の関係は十分に解明されていないが、腸に蓄積された、神経細胞に毒性を持つタンパク質α-シヌクレインが、迷走神経を介してドパミンを生成する脳の黒質に神経変性を惹起し、ドパミン不足を生じさせ、パーキンソン病を発症するという有力な仮説がある。ゆえにパーキンソン病は腸の病気とも言われている。私は、便秘の強いタイプのパーキンソン病は治療抵抗性で予後が良くない印象を持っている。たかが便秘と放置せず、便秘の段階での早期発見と治療介入が望まれる。真面目、几帳面、頑張り屋で、0時前後の遅寝になる、そして3日、4日以上の頑固な便秘に悩む人は、一度、専門医に相談することをお勧めしたい。