てんかん 本物と偽物

 


 人間社会、善と悪、本物と偽物、私たちは時として偽物に騙される。てんかんの世界にも本物と偽物がある。まずは偽物の話。30歳、高学歴、容姿端麗なる女性、口から泡を吹き、全身を痙攣さす大発作を年に数度起こし、大学専門医から抗てんかん薬の処方を受けていた。こう度々発作を起こしては、嫁にも出せない、うちの娘には困ったものだ、心を痛める親の心配をよそに、当の本人は、発作を気にする風はなく仕事に精進していた。親から長年猛反対されていた交際相手を、やっと認めてもらい結婚し、東京に転居した。起きた奇跡は、薬を飲まないのに長年の発作は消失し、2年後に子宝に恵まれた。結果は心因性、心の病、ヒステリー発作であった。次は、本物だったの話。30歳男性、年に数回の激しい頭痛発作に難渋し、長年、片頭痛・群発頭痛として治療を受けていたが、頭痛発作はいっこうに治らない。治療経過から頭痛てんかんを疑われ、抗てんかん薬の処方を受けたところ頭痛は消失した。75歳男性、この数年、前触れもなく、突然クラっとするめまい発作に襲われ、治療を受けていたが薬効なく、めまい難民となっていた。ところが、めまいてんかんとして、抗てんかん薬の処方を受けたところ症状はピタリと消失し、たいそう喜ばれた。てんかんと思っていたら偽物、まさかと思っていたら本物のてんかん。てんかんの世界にも本物と偽物が入り混じってやっかいである。