発酵食品 甘酒
今月のテーマは発酵を通して知る本物の贅沢についての話である。発酵の主役は日本の食文化を支えてきた麴菌である。麴菌は、糸状菌と呼ばれる微生物で、水中や湿気の多い土壌など自然界に広く存在し有機物を分解する。私たちの生活では、味噌、醤油、酢、酒などの発酵食品の製造に役立つ一方で、水虫の原因にもなる多面的な活躍をする微生物。菌糸と呼ばれる独特な糸状の細胞を伸ばし、胞子を作って増殖し成長する俗称カビである。
この麴菌、日本、東アジア、東南アジアにしか生息せず、中でも日本の麴菌は日本特有と言ってよく「国菌」に認定されているありがたいカビなのである。国菌認定の麴菌が作り出す数多くの食材のなかで、私は甘酒に注目している。注目の理由は、飲む点滴と称されるほど豊富な栄養素を持っているからだ。麹菌が作り出す成分の中で、デンプンから甘味を作り出すブドウ糖と、タンパク質から旨味を作りだすアミノ酸は、吸収が早く脳や身体のエネルギー補給や修復力を持ち、強力な疲労回復剤として好まれる。その他に、甘酒に含まれる豊富な食物繊維とオリゴ糖は腸内善玉菌のエサとなり整腸作用を発揮し、便秘を解消し腸内環境の改善に貢献する。豊富なビタミンB群と米麴由来のコウジ酸は、美肌、美髪効果が期待される。甘酒の脂質を分解するレジスタントプロテインはコレステロールを低下させるなど、多彩でありがたい作用を持っている。そして、米麴甘酒には砂糖不使用での優しい甘さ、アルコール0%は子供や妊婦にも安心。子供には勉強前、一杯の甘酒は集中力を高める。お年寄りには寝る前、一杯の甘酒は良眠となる。夏場は炭酸水や抹茶パウダーを加えさっぱりした健康ドリンクとして甘酒を楽しんで頂きたい。